IT技術の進歩により、スマート農業が広がりを見せている。スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術などのIT技術を駆使し、農業の効率化を進める取り組みのことだ。スマート農業により、農業従事者の人手不足や高齢化の解消が期待されている。
日本での実用化も進んでいる。例えばパナソニックによるトマト収穫ロボットは、トマトをもぎ取るだけでなく、成熟しているものだけを選んで収穫することができる。さらに、収穫時に他の実を傷つけないもぎ取り方をロボットに学習させることも可能だ。
営農指導を事業の1つとするJAレーク大津では、2018年にドローンを利用した農薬や肥料の散布が実現している。省力化により栽培量が1.5倍に増加した。また、農薬散布のために人がほ場に踏み入る必要がなくなったので、作物を傷つけることが少なくなるというメリットもあった。
リモートセンシング技術と呼ばれる、栽培管理の技術も導入が進んでいる。国際航業が提供するクラウド型営農支援サービス「天晴れ」は、人工衛星を使って空からほ場を分析しデータ化する。作物の生育状況や健康状態が視覚化でき、経験の少ない農業従事者の負担を軽減することができる。北海道や欧米など、広大な敷地を持つ農家は、場内を自分の足で歩き回り作物のチェックすることに多くの時間を費やしてきており、体への負担も大きかった。リモートセンシング技術により、体にハンデを抱える人や高齢者などにとって農業への敷居が低くなることが期待される。
スマート農業の普及により、それを支えるエンジニアの需要も高まっている。特にAIやデータ、ドローンなどを扱えるエンジニアは重宝されるだろう。もしITの力で農業を救う仕事に関心があるなら、これらのスキルを磨いておくことをおすすめする。